夏祭り
『エンニチ?』
「うん。うちの近くであるんだ。っていうか、駅から歩いてくる時通ってるよ、あの神社」
言われてみればそのようなものがあったかもしれないが、駅から獅堂家(正確には獅堂流
剣道場)へ来る時はたいてい光が一緒に居るので危険なことでもない限りほとんど他に意識が
向いていない。
「夜店もたくさん出るんだ。それで縁日に行ったことがないっていうフェリオやアスコット
連れて風ちゃんと海ちゃんが急遽来ることになったんだ。だから、その……ランティスもどう
かなって思って…」
二人きりの夜のデートのお誘いなのかと思いきや、やはりお邪魔虫(酷)は付き物ということ
らしい。風たちはそれぞれ案内もあるだろうが、獅堂家には格段厄介なラスボス的お邪魔虫が
控えている。
『サトルが祭りで浮かれているさまは想像出来ないが…マサルやカケルはそういうのは好き
だろう?』
「あははは。覚兄様は自治会の夜回り組に駆り出されてるんだ。父様も母様も今いないから。
優兄様も学院のクラスメイトが来るみたい。翔兄様は…」
そこまで言って、ふっと光が口をつぐんだ。
『どうした?』
ランティスに促されて、光は電話口でかりかりと頬を掻いていた。
「宿題終わってないのがバレちゃって覚兄様に禁足申し渡されたんだ。夏休みいっぱい徹夜
しても始業式までに間に合うかどうか…」
学院特待生の覚や同じく優待生の優の上二人と違って、三男坊はそれほど勉学に身が入って
いないとみえる。
『夜の人ごみにヒカルを一人でやる訳にはいかないな』
「え、夜の人ごみって言ってもご近所だしそれは平気だけど…興味がないんなら無理にとは
言わないよ?」
『いや、どんなものか見てみたい。何時に迎えに行けばいい?』
「迎えに来てくれるの? んーっと……、打ち上げ花火もあるからそれが始まるまでにひと
通り巡りたいし、六時にうちでいいかな?」
『わかった』
今日の今日のお誘いだろうが、後輩達の目付け役だろうが、断るという選択肢などなかった。
「どれにしようかなぁ…」
同じ町内で商売をする者同士のよしみもあるからと、母は毎年のように振袖やら浴衣やらを
仕立ててくれているが、光はどこか勿体無いことのように思っていた。思ってはいたけれど、
一人娘に着せる楽しみを奪うのも忍びなく、いつも着せ替え人形よろしく誂えられるがままに
なっていたが、着ていくあてがあるとなれば……特別な人と出かけるとなれば選択肢はいくら
あっても足りない。
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2014.8.30開催の ツイッター恒例企画
第3回 #深夜の真剣レイアース書描き60分1本勝負 主催 殉(@kanzakijyun)さま に
14:35-15:35で参加させていただきましたが、遅筆のため未完でございます(8.30現在)
シチュエーションはパラレル学園モノで、
ランティスを誘って夏祭りに行こうとしているところです
9月には完成してup出来たらなぁ・・・と目論んでおりますがどうなることやら
あ、9月に夏祭りネタかよってツッコミはなしな方向で(滝汗)
2014.9.19一応完結しました