ミニ薔薇戦争 

       

    薔薇戦争とは…中世イングランドで起きた

              赤薔薇を紋章とするランカスター家と

              白薔薇を紋章とするヨーク家との権力闘争。。。。。

    

    ミニ薔薇戦争とは…東洋の島国のとある学校の中で起きる

                ミニ薔薇を奪い合う舞踏会にまつわる

                ひと騒動・・・らしい(うーん、優雅さはいずこへ?)

 

 

 

 

 

♪ちいさき薔薇の舞踏会 開催のお知らせ♪

聖レイア学院西の森薔薇園内のラボにて

各自学生証を提示の上

所定のミニ薔薇のプリザーブドフラワー・コサージュを受け取ってください

男子…バニラ・コルダーナのつぼみ(白)

女子…レッド・マリーのつぼみ(赤)

なお学外にステディがいらして舞踏会への参加は辞退したいと仰る方は

マカレナのつぼみ(オレンジ)を受け取ってください

※マカレナの事前用意数は少なめですので

  追加作成の都合上、早めに申告していただけると助かります

プレ舞踏会シーズン中

 制服着用者は左胸ポケット付近に

 それ以外の方はなるべく目立つところにコサージュをつけてください

 

★★「ステディは別にいるけど、お祭り≪舞踏会≫には参加したい!」というあなた!!  

   ステディとダンスパートナーに一言お断りするのをお忘れなく!!

   (生徒会では痴話喧嘩の仲裁は致しません。自己責任でお願いします)

 

聖レイア学院中等科・高等科生徒会 ちいさき薔薇の舞踏会 実行委員会


 

 「真面目なんだか不真面目なんだかよく解んないわよね〜、うちの生徒会って…」

 少し呆れたように掲示板を見た海が苦笑した。

 「私、空お姉様からお聞きしていて、とても楽しみにしていましたの。素敵な方にエスコートしていただくのが

ずっと夢でしたわ」

 風はほんのり頬を染めて微笑んでいた。それとは対照的なのが光の引きつり気味の顔だった。

 「あああ、球技大会が済んだと思ったら、もうこれなんだよね。どうしよう…」

 留学生以外のLibra≪天秤宮≫(中等科一年)生は舞踏会どころかダンスに無縁な者も少なくない。高等科

卒業生が海外の大学へ進学することも多い聖レイア学院では、海外での舞踏会への参加に戸惑うことが

ないよう、学院内デビュタントを経験させるべく、創立当初からこの舞踏会が開催されていた。

 ≪ちいさき薔薇≫とは、パートナーの申し込みとその承諾の証にミニ薔薇のコサージュを交換することに

由来している・・・。

  

 

 

 季節はさわやかな初夏だというのに、浮かない顔をした翔が呟いた。

 「はぁ…。オレンジのやつ、光に着けさせたいよな」

 「それとなく言ってみたけどな、『だって学院外にお付き合いしてる人なんて居ないよ』って、あっさり

言われちまった」

 獅堂家の次男・優の表情も同じようにすぐれない。

 「生徒会に上申書も出したのに…、家でも直談判持ちかけたのに…、なんでフラワーコードを変更して

くれないんだ、覚にぃはっ!!単に『ダンパ(舞踏会とお呼び!)不参加ならオレンジ』でいいじゃないかよ、

なぁ?!優にぃ!」

 ぐぐっと拳をふるわせた翔に優がしみじみと頷いていた。

 覚曰く、『中・高等科親睦を図る目的もあるから、単なるサボりを容認するような抜け穴は駄目』らしい。

それでも簡単に引けない翔は、さらに食い下がっていた。

 「男女交際を学校が助長するのか!?」

 「創立当時からの伝統行事で、これまで特に問題もない。それに学校出るまで異性の手に触れたことも

ありませんなんて無菌培養じゃ、かえってあとが怖いと思うしね。それに君たち、どうして今年に限って

そんなに反対なのかな?去年は上申書を出さなかったじゃないか」

 

 ――それを聞くのか…?

    他ならぬ覚にぃがそれを聞くのか…っ?!

    そんなの、光が中等科に上がったからに決まってるじゃないかーーっっ!(バカ兄貴)

 

 聖レイア学院男子学生の中でも獅堂三兄弟はかなり人気が高い。ただ、単なる『妹思い』レベルなら

『優しいお兄様』で好感度upだが、下二人の目に余るシスコンぶりは学院外にまで知れ渡っていて

大きくポイントを落としていた。

 ほんの少し前まで、実は二人ともここまでの心配などしていなかったのだ。光は男の子っぽいところが

ありながらひどく恥ずかしがり屋なので、誰かが誘おうが『ごめんなさい!』率がかなり高いだろうと

踏んでいた。そしてそれ以前に、優と翔で睨んで追っ払う自信もバッチリあった。あの、球技大会の

決勝戦を見るまでは……。

 

 

 何しろ相手が悪いったらありゃしない。

  一.名門の家柄…学院創立者の曾孫

  二.政治力…生徒会副会長≪学院No.2≫(いや、昼寝ばっかして怒られてますが?)

  三.運動神経…元テニス部主将兼運動部部長

  四.ルックス…198cmの長身で、10人中10人がふり返る文句ナシの美形

  五.頭脳明晰…実はイギリス滞在中に国際バカロレアを取得済みで、

            本当は日本で高校生やる必要なんかないんじゃないかという秀才

  六.眼光炯炯… ひと睨みの迫力にかけては二人を遥かに越えるので、

            睨んだところで退散してくれそうにない

                     と、数え上げればきりがない・・・・orz

 

 

 留学生を多く受け入れてはいるが、編入試験の難易度がかなり高いことでも有名な聖レイアで、

全教科満点をたたき出したバケモノの噂は瞬く間に学院内を駆け巡った。そのバックグラウンドから

『身内に甘かったんじゃないか…』との声もごく一部で上がったが、編入試験の模様は不正防止の

観点から録画されており、その疑念は一蹴された。

 去年の舞踏会では過去最高の逆ナン…もとい逆指名を受けたものの、完全シャットアウトで、女嫌い

(どころか、獅堂覚やイーグル・ビジョンとやけに仲がいいことから★★なんじゃないかと、一部女子が妙な盛り上がりも見せたが・爆)

なのだろうと目されていた。あれだけの綺麗どころがアタックして、一人もストライクゾーンに入らない

なんて、そう考えるほか納得できなかった。(特に意中の女子にフラれた男子には…)

 そうして壁の花というより、馬鹿デカすぎて柱のように突っ立っていたランティスに、二度玉砕しにいく

根性の女子はいないだろうということで、去年のリベンジを誓う者も多数あった。

 その男があろうことか獅堂兄弟の可愛い妹・光にちょっかいをかけてきたのだ。(人聞き悪いなぁ…(^.^; オホホホ)

長兄・覚と幼稚舎時代から意気投合しているとはいえ、これには覚も複雑な思いをしたようで、一度は

「三兄弟を倒してから」などと条件をつきつけていた。

 

 だがランティスは先日の球技大会でその条件をいとも簡単にクリアしてしまったのだ。以来道場の

窓から優たちが覗いているのを承知の上で、中庭で交換日記のノートを手渡す二人の姿が獅堂家の

日常になりつつあった。

 

                                                     NEXT

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ミニ薔薇の品種の選定にあたり ミニ薔薇図鑑さま を参考にさせていただきました

「マカレナ」は黄色系統7、「レッド・マリー」は赤色系統10、「バニラ・コルダーナ」は白色系統3のページにあります

 

       このお話の掲示板用テーブルはさまよりお借りしています 

 

          このお話の薔薇の壁紙はさまよりお借りしています