ランティスと光の場合。。。。

 

――スタジオ訪問の日から遡ること約二週間

 

「ああもう、カット、カット、カット、スト〜ップ!!」

大きく腕を振り回したキャロルを、ランティスはじとっと睨み、真っ赤な顔をした光は首を

竦めていた。

「イヤだわ。何なの、その棒読みはっ!!読み進めばマシになるかと思ってたけど、全っ然

ダメじゃない。児童劇団の入団テスト以下のレベルね!練馬どころか桜島クラスだわ…」

「生憎、そんな物を受けた記憶が有りませんが」

大根の烙印にうんざりしたようにランティスは答え、光はおろおろしていた。

「ご、ごめんなさい。学園祭の劇で女の子の役をやったことなくって……」

たとえそんな経験があったとて、ボーイフレンドの母親の前で軽いラブシーンというのは相当に

ハードルが高かろう。

「ヒカルちゃんはいいのよ、可愛いんですもの。壊滅的なのはランティスよ。この間進路指導の

トヨタ先生から『ランティス君の調査票がまだなんですが…』って言われたけど、間違っても

役者になりたいだなんてことは…」

「言いません!!」

 

 

…本人が望むと望まざるとにかかわらず、

そ ん な 事 態 が起きようとは、その時の二人は知るよしもなかった………。

 

             

         蓮キョの場合 

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