親愛なる義兄上へ |
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この書簡がそちらに届く頃には、すでに挙式を終えているので |
光(妹を呼び捨てにするなと、不快に思われるだろうか)が教えてくれた通り |
義兄上とお呼びしようと思う |
もっと早くに書簡を差し上げるべきだったかとの思いもあるが |
本来であればそちらに伺った上で |
ご挨拶をするのが筋だと聞き及んでいた |
結局それを果たすことの叶わなかった未熟な義弟を許してほしい |
まだ諦めていないことを光に知られたなら |
烈火の如くに怒るか、泣いて抗議してくるか |
あるいはその両方なので |
その旨は伏せておいていただければと願っている |
大切にされていた妹御を遠く離れたこの地に嫁がせるのは |
並々ならぬ決断を要されたとお察ししている |
ご両親や下の義兄上たちにも、どうかよろしく伝えてほしい |
新婚旅行から戻り次第 |
実家にお土産を持って行くからと光が言っていたので |
待っていてやってください |
あなたの義弟 ランティスより |