星に願いを
勝てないかもしれない……
そんな迷いに負けちゃいけない
信じて待ってくれている
みんなのところへ帰らなくちゃ
もう一度あのひとに逢いたいから
あのひとたちの世界を護りたいから
敵を打ち破って帰るんだ……
討ち払った瞬間
闇に覆われていた世界は
まばゆいひかりに満たされた
纏っていたはずの魔神は
無数のましろな羽根となり
ひかりあふれる空を舞っている
すごくすごく背の高い
漆黒の髪に晴れ渡る空の色を映した蒼い瞳の黒衣の剣士が
優しいまなざしで私を見上げていた
いちばん 逢いたかったひと
もういちど逢えたら
ぜったいに伝えたいと思っていた
だめだって解っているけど
なにもしないで後悔するのはいやだから
「ランティス……すき…」
「…俺もだ…」
もらえるはずなんかないと思っていた
いちばん欲しかったこたえ
嬉しすぎて涙がこぼれそうなのをこらえて
とっておきの笑顔で手をのばした
illustrated by 3児の母さま
ゆるゆると降りていく私を待って
水晶のようにキラキラ輝く城を囲む花びらの先で
せいいっぱい手をのばしてくれたその人に
あと少しで手が触れるという瞬間
セフィーロを救う役目を果たした私たちは東京に放り出され
二度とその世界を訪れることはなかった………