キス待ちルージュ by 恵さま 

 

 「なあなあ、ラファーガ」

 「なんだ?」

 「うちを見て、どう思う?」

 「どう思うって……」

 唐突なカルディナの問いに、ラファーガは戸惑う。

 そして先ほどから気が付いていたことを答えた。

 「……口紅の色を変えたからか?」

 「なんや、分かっとったんかいな」

 「普段の口紅の色と違うからな。それくらい、すぐに分かる」

 「それって、うちのことを普段からよく見てるってことなんやな」

 カルディナの言葉にラファーガは赤面した。

 「このルージュな、ウミに貰うたんよ」

 「ウミにか?」

 「そうや。お嬢様方が住んでいる地球のルージュで、今流行っとる色なんやて。

それでウミがお土産いうてくれたんや」

 「そうか」

 「なあ、ラファーガ。うちの唇を見てどうや?」

 「どうって……」

 「うちの唇、ぷるっぷるのツヤツヤやろ?キスしたくなった?」

 「なっ!!」

 カルディナの言葉に、再びラファーガは赤面した。

 「なあ、ラファーガ」

 「な、なんだ」

 「うちのこの唇は、ラファーガのものなんよ」

 逞しい首に両腕を巻きけるように抱きついて色っぽくキスを強請るカルディナに、ラファーガは

顔を赤らめつつその背を優しく抱く。そしてカルディナの耳元で囁いた。

 「その口紅はもう付けないでくれ」

 「なんで?」

 「他の男に見せなくない。私以外の男がその気になってしまいそうだからだ」

 「その気って、キスしたくなりそうってことなん?」

 その通りだと言わんばかりに、ラファーガは回していた腕を僅かに強張らせた。

 「ふふっ、分かったわ。このルージュ、ラファーガの前でしか引かん」

 「…………」

 「ラファーガ」

 カルディナは艶やかな唇を僅かに突き出し、キスをしてくれと強請る。

 ラファーガはカルディナの唇に誘われるように自らの唇を近づけ重ねた。

 

 

 

    

          

  

 

 

 ★ おまけ★

 

  ……かのように見えたが、寸でのところで突然ラファーガの動きが止まった。

 「なんやの?」

 折角いいところなのにと不満げなカルディナが見上げると、ラファーガはそのままの体勢で

固まってしまっている。

 固まるラファーガの視線を辿ると、その先にはセフィーロは勿論、三国の面々も勢ぞろいしていた。

 「ご、ごめんね、邪魔をしちゃって」

 猫耳を出し顔を真っ赤にして謝るヒカル。彼女の隣には、何時も無表情で感情が読めないランティスが

いた。

 「まったく、こんなところでイチャつかないでよね」

 顔を赤らめそっぽを向きながら文句を言うウミに、アスコットが顔を赤らめながらも「まあまあ」と宥めて

いる。

 「すみません、お邪魔するつもりはなかったのですが……」

 律義に頭を下げ焦ったように謝るフウに、フェリオが苦笑している。

 「まあまあ、仲良しさんね」

 「仲良しねぇ」

 にっこりと微笑み呑気に言うタトラの隣では、ジェオが意味深げに笑う。

 「こ、こんなところで、キ、キスしようとするなんて……!」

 「タータもしてあげましょうか?」

 「なっ!?」

 顔を真っ赤にして言うタータに、イーグルが面白がってワザとからかう。

 「なんじゃ!見えんのじゃ!なにが起こったというのじゃ?!」

 「ア、アスカ様!」

 「み、見てはなりませぬ!」

 チャンアンに両手で目を塞がれ、暴れるアスカを懸命に宥めるサンユン。

 「もう!こんなところでイチャつくのが悪いのよ―――っ!」

 「そうだ!彼女がいないオレへの嫌がらせかよ」

 甲高い声で絶叫するプリメーラに、涙を流しつつもしっかりとオートザム製の最新ビデオカメラを片手に

撮影しているザズ。

 「まあまあ、みんな」

 「二人を探そうと言い出して、探しに来たのではないか」

 好き勝手なことを言う面々に呆れつつも宥めるクレフとプレセア。

 最もこっ恥ずかしいシーンを全員に見られてしまい、カルディナはともかくラファーガは、暫くの間立ち直れ

なかったという。

 

 

 

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素敵な回答、ありがとうございました〜♪ (*ノノ) キャー

 

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