さまよりお借りしています光、いつでも帰ってきていいからな！ビデオ鑑賞会
〜７月７日 獅堂家にて〜
（獅堂家・玄関先）
海 ：おはようございます、覚さん。（くすっと笑って）遅くなりましたけど、これ、優さんと翔さん
がお待ちかねのモノです
覚 ：わざわざありがとう、龍咲さん
海 ：それからもうひとつ…
――ショルダーバッグから、表に「獅堂 覚 様」と書かれた一通の封書を取り出し手渡す。
裏返してみるが、差出人名とおぼしきものは何と書いてあるのか読み取れない
覚 ：…これ、光の字じゃないね
海 ：ふふっ。光の旦那サマからですよ
覚 ：それはそれは…。…随分早いけど、今日も仕事かい？
海 ：えぇ、これからパリに行くんです。じゃ、失礼します
――優から預かっていたビデオカメラを覚に託し、空港へ向かう為に待たせていたタクシー
に海が乗り込む。覚はにこやかに見送っている
（セフィーロ・結婚式を挙げる聖堂前廊下）
――カメラテストを始めた海の声が入り、その後、周辺を試し撮りしたものが映る
海 ： （声のみ）えーっと、電源入ったかな？ちゃんと映ってるわね、よしっ
今日は地球だと６月３０日ですね。そちらのお天気はどうですか？こちらは梅雨明けして
なくて、光の晴れの日なのに、朝から雨模様です
――窓越しに雨の降る景色が映り、草原にオートザムの戦艦・ＮＳＸが見えている
（獅堂家・リビング）
翔 ： うおっ！？なんだありゃ、戦艦みたく見えるんだけど…
優 ： 確かに。光、結婚式に行くって言ってたよな…？
――母と長男・覚は黙って見ている。父はまたもや不在（笑）
（セフィーロ・結婚式を挙げる聖堂前廊下）
海 ： 光、そろそろよ、準備いい？…だから、腕組まなくていいって、さっき言ったじゃない
光 ： （声だけ）でも海ちゃん、ハイヒール、慣れないから怖くって…
（獅堂家・リビング）
優 ： 龍咲さんっ！光っっ！いますぐ光を映してっっ！
――映像に無理難題をふっかける優。
（セフィーロ・結婚式を挙げる聖堂前廊下）
イーグル ：（声だけ）実はさっきもヒカル、ドレスの裾を踏んづけちゃってたんですよ。こうしてる方が
僕は安全だと思います。転んだりしたら大変ですから
――聖堂のドアの前で腕を組んでいるオートザム軍礼装のイーグルとウェディングドレス姿
でうつむき加減の光が映る
（獅堂家・リビング）
優 と 翔 ：（ユニゾンで）ひ、光ーーっ！
翔 ：光を奪ったヤツ、こんなやつだっけか？もっと魔王っぽい、黒髪だったような…。あれ、
勘違いして見てたのかな
優 ：どっちにしろ俺達との勝負に勝ってもいないし、交換日記もしてないけどな
――エキサイトする二人をよそに、母と覚は感慨深げに光の姿を見ている
母 ：まぁ、小花を散らした可愛いドレスねぇ
覚 ：本当にお嫁に行くんだなぁ。あの小さかった光が…
（セフィーロ・結婚式を挙げる聖堂前廊下）
――光とイーグルのアップが映る（とはいえ光の顔にはヴェール）
（獅堂家・リビング）
翔 ：（イーグルの顔を見て）こいつどっかで見たような顔してない？
母 ：あら、少し覚さんに面差しが似てらっしゃるかしら、この方…？
優 ：ひ、光はブラコンだったのか？！なんでっ、なんで兄さんなんだっ？！
翔 ：俺に似たやつだって良かったんじゃないか！？
――やかましい下二人をよそに、冷静な覚が呟く。
覚 ：この場合、ブラコンとは関係ないと思うんだが…？
翔 ：覚兄さんはあそこにいるからそんなに落ち着いていられるんだ！
覚 ：いや、あれは違うから
（セフィーロ・結婚式を挙げる聖堂前廊下）
――聖堂のドアが開き、中から荘厳な調べが聞こえてくる。イーグルが光の顔を覗くと
光も頷き、腕を組んだまま歩き始める
（獅堂家・リビング）
翔 ：うわぁぁぁ！行くなっ！行っちゃダメだっっ、光〜っっ！
優 ：引き返すならいまのうちだっ！思い直せ、光っっ！
覚 ：いや、もう式を終えて１週間経ってるよ。少し落ち着きなさい
（セフィーロ・聖堂内のヴァージンロード）
――静々と歩いている光だが、時折微妙におかしな動きが見て取れる
（獅堂家・リビング）
母 ：（小さく笑って）ま。いまのは、裾を踏んだわね
覚 ：剣道着の袴の裾は引っ掛けたことなかったのに…。緊張してるんだね、光
翔 ：優兄さん…
優 ：…何だ？
翔 ：あの覚兄さんもどきのヤツが、俺達の義弟ってことになるんだよな
優 ：（すでに半ば放心状態）そうなるんだろうな
翔 ：どうみても俺より年上に見えたんだけど…
優 ：そうだな。俺よりもまだ上って感じだよな
覚 ：少しは静かに見たらどうだい？可愛い妹の門出なんだから
（セフィーロ・聖堂内のヴァージンロードから、祭壇前あたり）
――祭壇前で光を待つランティスの姿が映るが、つまずいてイーグルに少ししがみつくように
なった光を見て、心配するやらイーグルに嫉妬するやらで、普段よりかなりの強面（笑）
可愛い光のウェディングドレス姿を満喫するどころではないらしい（爆）
（獅堂家・リビング）
優 ：あれ？あのコワモテ、まさか…？？
翔 ：あいつだっ！あの悪の大魔王！！白い服でごまかされるとこだったっ！
覚 ：やっぱりそうか
優 と 翔 ：（またもユニゾンで）何が？
覚 ：祭壇前の彼が光のお相手だと思うよ。地球の教会式に則ってやってるようだから
（セフィーロ・聖堂内、祭壇前）
――イーグルは祭壇前で待っていたランティスに光の右手を預け、招待者席へとつく
（獅堂家・リビング）
優 ：覚兄さん、ビンゴ…
翔 ：義弟？あれが……？絶っ対、あいつ覚兄さんよりも年上だぞ！（たぶん父よりも・笑）
（セフィーロ・聖堂内、祭壇前）
――指輪の交換も済ませ、誓いのキスを交わすために、ランティスが光のヴェールをそっと
めくって、しばし二人は見詰め合っている
（獅堂家・リビング）
母 ：光さんの旦那様、とても背が高くていらっしゃるから、誓いのキスをするのもちょっと大変ね
優 ：大変だったらしなくていいっっ！
翔 ：うわぁぁ！いやだっ！！可愛い光がくちびるを奪われる姿なんて、俺は見たくないっ！
――結婚式の式次第もあったもんじゃない兄二人の発言（だったら見るなよ・笑）
（セフィーロ・聖堂内、祭壇前）
――いい歳してるくせに（笑）照れ屋のランティスが、この身長差を乗り越えてどうやって誓い
のキスをするか、実は興味津々なイーグル他参列者の面々。ランティスは光の腰に両
手を当てたかと思うと光を高く抱き上げる。はじめからそれと知っていたのか、光はバラ
ンスを取りやすいよう、ランティスの肩近くに手を添えていた。まるでペアスケーティング
のウェストホールドリフトをしながらターンする感じで、光の背中を参列者席に見せるよ
うにして、客席から見えなくなったところで光にふわりと口づけた
海 ：（声だけ）あーっ！ひどいっ！カメラに映らなかったじゃないのっ！ランティスのばかぁぁっ！
イーグル ：（くすくす笑いながら、声だけ）これが課題の答えですか…しょうがない人ですね
（獅堂家・リビング）
母 ：あら、ちょっと残念かしら
覚 ：光はちっちゃい頃から『高い、高い』が大好きだったものなぁ（そういう問題ですか、アレ）
よかったな、翔。見なくて済んだじゃないか
（セフィーロ・聖堂前廊下からテラス）
――式を終えて出てきたランティスと光に「「おめでとう！」」の言葉とともに、フラワーシャワー
が降りそそぐ。いつの間にか雨も止み、空には二人を祝うように二重の虹さえかかって
いる。テラスまで来ると、光はみなに背を向けて立った
光 ：いーい？三、ニ、一で行くからね！ 三！ニ！一！！たぁーっ！
――花嫁としてはやけに威勢のいい掛け声で、ブーケトスをする光。光が放り投げたブーケ
は狙ったように海のことろに落ちてきて、カメラがぶれた
海 ：きゃっ！
光 ：（振り返りにっこり笑って）次は海ちゃんの番だね！
（獅堂家・リビング）
優 ：あぁ、結婚しちゃったよ…（いやだから、もう１週間経ってるし・笑）
翔 ：つらくなったら、いつでも帰って来るんだぞ、光ぅ…
……この後の新婚旅行で光の身に起きたことを知ったら、
彼ら（特に下二人）は卒倒するかもしれない……
２００９．８．２８
ＳＳｉｎｄｅｘへ 往復書簡 ランティス＆覚 へ（フルサイズ表示推奨）
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
ヴァージンロードを歩く光がイーグルと腕を組んでいるのは
お誕生日チャット会での話が元ネタです
イーグル≒覚兄様＋ちょっと底知れない感じ
ついでにランティスが妬くだろうなと面白がってたり…（非道）
光のドレスは、イラスト集の巻末にあったものです
それにしてもここまでくるのに約１年かかってましたね(^.^; オホホホ
このページの壁紙はさまよりお借りしています