七 月 七 日 

 

 「どうにも落ちつかないんだよな、こういう格好…」

 「あら、よくお似合いだと思いますわ」

 普段着慣れない服装で、初めての場所にいるのでフェリオは尚更

落ち着かない。一方の風はといえば、懐かしげにぐるりと控え室を

見渡していた。

 「私、昔、この教室にいましたのよ。こぐま座の教室に」

 「そっか、フウたちは幼稚舎から学院にいるんだもんな」

 そんなふうに聞くと、フェリオにとっても特別な場所になる。

 「光さんと私はこぐま座、海さんはお隣のおおぐま座だったんです」

 「星座の名前好きだよなー、ここ。創立者の趣味か?」

 創立者といえばランティスの曾祖父にあたるのだが、曾孫の無愛想男に

わざわざ聞くのも億劫だった。

 「さぁ、そういうことは特にお伺いしたことありませんけど…うふふっ」

 突然笑い出した風に、置いてけぼりにされたフェリオが面白くなさげに

文句をつけた。

 「フウ、思い出し笑いなんてよくないぞ」

 「すみません。海さんのことを思い出してしまったんです…。海さん、

『自分こそはこぐま座に相応しいのに、どうして私だけおおぐま座なの!?』って

ずっと言い張ってらしたなって…」

 「なんだよ、それ…。女の子にしたら、おおぐまよりこぐまのほうが響きが

いいからか?」

 フェリオにしてみればクラスの名前なんて単なる記号に過ぎず、ぶつぶつ文句を

いうほどのこともない。

 「いえ、可愛い可愛くないというより、UMiだからですわ」

 「はぁ??」

 「おおぐま座はUrsa Majorで略号がUMa、こぐま座はUrsa MinorでUMi

なんです。ウミとも読めますでしょう?」

 「・・・・なるほど、そういうことか・・・」

 『くだんねぇ』と咽喉まで出かかったが、そこは風の親友の一人のことだしと、

フェリオはぐっとこらえていた。

 

 ガラガラとドアを開けて、光がひょっこりと顔をだした。

 「風ちゃん、フェリオ、出番だよー!体育館の舞台袖に来てー」

 言うだけ言い置いて、光は忙しげに駆けていく。

 すっと優雅に手を差し伸べてフェリオが誘(いざな)った。

 「チビどもがお待ちかねってか。そんじゃちょっくらやりますか、織姫サマ?」

 「はい、彦星様」

 学院幼稚舎の七夕イベントにかりだされた彦星と織姫は、手を携えて体育館に

設えられた天の川に向かうのだった。

 

   

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           この壁紙はさまよりお借りしています

 

 七夕ネタ

 久々のすくーるでいずはこのコンビと相成りました

 だってー、ラン光はちょっと違うし、アスコットは舞台とか無理っぽいし。ねー?