「すまない…」
目覚めた私の背中に回された
きつく抱きしめる腕が、言葉が微かに震えていた
涙であなたの胸を濡らしてしまったのは私なのに
「違う。違うんだ。あなたを責めてる訳じゃない…」
すべらかな胸に額を押し当てて
その広い背中に私はせいいっぱい腕を伸ばす
「ああ、解ってる」
「だったら、どうして謝るの?」
「こうして肌を合わせていても、つらい夢に苦しむお前を救えないから」
「どんなに苦しくたって、それはただの夢だ。現実が苦しかったあの人たちとは違う。
私は泣いて目覚めても、あなたに抱きしめてもらうことができる。それだけで幸せ」
あなたが狂おしいほどに私を望んでも
私があなただけのこころに応えても
もう世界は壊れたりしないから
いつまでも
どこまでも
ふたり いっしょに
2010.2.14