おさえた首元

 

 「・・・荒れる気配はなさ気だな・・・」

 「…そのようですね」

 下手すると刃傷沙汰になりかねない一大事とばかりに飛び込んできたカルディナに、

プレセアとまったりお茶を楽しむひと時を台無しにされたクレフはすこぶる機嫌が悪く

なっていた。

 虚空のスクリーンに城下町デートを楽しむ二人を捉えて映し出していたクレフは

導師の杖を振るうとそれを掻き消した。

 「何故(なにゆえ)私がデバガメのような真似事をせねばならんのだ…。くだらん…」

 「そやかて・・・」

 誰かのキスマーク付きで現れたとなれば、あの光に一筋の男が大人しくしている筈が

ないと思ったのだ。柱の座を降りたとはいえ、このセフィーロを束ねている皆の中心に

いることは間違いなく、その光に万が一のことがあればまた大混乱に陥るやもしれない。

それを踏まえての御注進だった。

 「確かにヒカルの肩を気にしているみたいだったけど、ランティスの気分を害する

ものでもなかったみたいね。お茶のおかわりはいかがですか、導師」

 「うむ、貰おうか」

 プレセアがにこりと笑むと、クレフも幾分気を取り直したようだ。

 「ところでカルディナ。ランティスが激怒しそうな《きすまーく》とは何なのだ?」

 思わず手元が狂ったプレセアが茶器をカチャリとぶつけていた。

 「へっ!? そ、そないなこと、ウチが導師に説明すんのは堪忍や!! ほな、後は

よろしゅう!!」

 「ちょっと! それはないわっ! カルディナ!!」

 その声を聞くより先に、カルディナはさっさとクレフの部屋から駆け出していた。

 「落ち着きがない奴め…ところでプレセア」

 「あっ、はい、あの、私もご説明出来るほどでは…」

 世事に疎い生え抜きの導師さまはそういうことにも縁遠いのかと密かに頭を抱えつつ、

しどろもどろでプレセアは答えた。

 「ああ、いや。それより茶器で怪我はしなかったか?」

 「はい、大丈夫ですわ、導師…」

 思いやってくれる導師に話を誤魔化さねばならない有様に、いったい誰を恨めばよい

のだろうかと、もやもやのつかえた首元をおさえたプレセアだった。

 

 

 

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        このお話の壁紙はさまよりお借りしています

 

 

貴方はランティス 光で『おさえた首元』をお題にして140文字SSを書いてください

・・・ということでしたが、140文字では収まらず・・・

バレンタインだというのに色気がないのは、うちの標準仕様なので諦めて下さい(マテ)

時期も光ちゃんが大学三年の夏ごろです

 

『遮光カーテンじゃないんだもん』

光ちゃんのこの一言でヤツが暗闇の結界魔法(シアワセノカタチ)の解読に勤しんだ

のは言うまでもありません・・・(『シアワセノカタチ』はラン光同盟様への投稿作品です)

 

セフィーロは意志の世界

魔法の出来不出来さえ、それを行使する者の意志の強さに大きく左右される…

未知なる物を解き明かすことへの情熱さえも、きっと……

・・・・え? もっと真面目にやれ? ランティス

(いや、すみません、扱いがこんなでwww)